エッセイ VOL.25 『シンクロニシティ(共時性)』その1



     

「あやしいおかんの胸のうち」
…と、このエッセイのキャッチコピーにあるごとく、
おかんの話もだんだんとアヤシクなってまいりました。

前回のつづき、精神世界の話は…
「生まれ変わり」とか「臨死体験」とか
「人間の想いと現象との関係」とか
はたまた「宇宙の意識」とか「天使・守護霊」とか「波動」とか、

ひとつひとつ追求していくと
何冊もの本になってしまうような長い話でありまして…

ひとつ間違うと「オカルト!」と科学的思考だけなさるお人からは、
軽蔑されかねない「世界」のことでありますね。

いや別に軽蔑されたって、おかんはちっともかまわないんで
ありますが、ヘタクソな文章であれこれ説明しても、
そういう世界のことを理解してもらうチカラもありませんから、

ひとつ今日は「精神世界」の底辺に流れるひとつのテーマ、
スイスの深層心理学者カール・ユング(1875〜1959?)の唱えた
「シンクロニシティ」共時性…とかいうもんのお話をちょこっと
お喋りさせてもらいますね。

共時性は、ユングが研究し提唱したものですが、
その研究に際しては、天才的物理学者といわれたノーベル賞受賞者
ウォルフガング・パウリの力が大いに作用しており、
二人の共同作業によって生まれた概念でもあるそうで、

「物理学や心理学」に深く入りこんでいく分野でありますから、
ちょこっと喋れるような単純な内容ではないのですが

いつもの、おかんのカールイお話
「体験と聞きかじり」でもって一部ご報告してみますね。
でも「そんなこともあるのか!」と意識していくと、
人生に対する見方が大きく変化していくと思いますよ。

おかんもそれによって、物の見方が「明るく」なり、
肯定的人生を送るようになったんであります。

「精神世界」というと…
一時はやったスプーン曲げとか、透視能力とか、テレパシーなど
(勿論そんなチカラを発揮できる人は沢山いるし、
また人間誰にでもそういうチカラはあるものだそうですが)
この際そういうたぐいのことは、ワキへ置いといて…

そう、超能力を身につけることにあまりこだわり過ぎると、
ロクでもないことになりかねませんからね。
どこかの宗教団体みたいにね。

さて、<「シンクロニシティ」が人生にどう関わってくるか>
肝心なのはそこの問題であります。

ユングのいうシンクロニシティ(共時性)を訳すと…
因果的には無関係でありながら、おなじ、あるいは似かよった
  意味をもっている、ふたつあるいはそれ以上のできごとの連続で、
  「こころ」が大きく作用する。

  宇宙において、いくつかの出来事が、通常の因果関係の力には
  寄らず連続して起こり、「意味のあるパターンを作り上げる」
という概念だそうです。  

いずれか一方に原因があって、その結果としてもうひとつの結果
が起きる、というのがいわゆる自然科学でいう「因果律の法則」
ですね。この世の出来事はすべてこの「因果律」に支配されて
生起している、と考えられたきた。
 
いっぽう共時性現象が起きるときは、その人の「心、主観」が
関係していて「潜在的な心に思っていることが外界にあらわれる」
つまり「こころ」と「もの」の間に意味のある一致が起きると
いう原理でもあるのですと。

だから人生において、「どうして共時性現象が起きたのか」考え、
そこに隠されている意味を探求していくと、
その結果として「自分の思いを達成すること」と無関係でない
ことに気づきますよね。

ただ、自己の欲望を満たすためだけではなく、つきつめていくと
「なぜ自分がいま、この宇宙の中に存在しているか」
「生まれてきた目的は何なのか」という哲学的命題にたいする
答えがその中に解き明かされると、ユングは語っています。

どうして「共時性」が起きるのかについては、下記に参考書籍を
挙げますので、興味のあるお方は読んでください。
(おかんずるいぞ、と言わないで。これはユングの唱える
「集合的無意識」という難しい概念とも関係していて
とても簡単には説明できないのです。)

私の場合は、このエッセイ前号でお話したように
「連続して宝くじに当たったこと」や、
「心で思ったことが、即現象となって現れた」
…読みたい本が思いもかけない所で見つかった…
そのほか不思議だなと思われる多くの体験から
「共時性」について、関心を持つにいたったわけでありますが、
 
この共時性は、知識として知るよりも「個人の体験」を通して
認識していくことが基本とされています。
(体験を通して、ナットク!というわけです。)

たとえばある人のこんな体験はどうでしょうか。

1)きょう、郵便局からの帰り道で、ぼくはふと先日友達から
   聞いた、ある日本映画の事を考えはじめた。
   あれは絶対面白いから、すぐにビデオを借りてきて観たほうが
   いいよ、とその友達はいったのだ。ところが、その作品を
   撮った若手の映画監督の名前がどうしても思い出せない。

   思い出せないまま、溝に足をつっこみそうになったり、野良猫
   をふんずけたりしながら、そのまま2ブロックほど
   「なんだっけ、なんだったかな?」と歩き続けた。
   いらいらがつのってきた時、曲がり角にやってきた。
   家の中からちいさな子を叱る若い母親の声がした。

   その偶然の声に呼びかけられたように、ぼくはその角の家の
   表札を見た。するとそこに書かれているのは N という、
   決してありふれたものでない、あの映画監督と同じ名前
   だったのだ。

2)それから地下鉄に乗って、日本で4番目に人口の多い都市の
   ダウンタウン最大の本屋めざして出かけていった。
   フランス語の本のコーナーに直行したぼくは、
   ポケット版のアントナン・アルトーの詩集を探しはじめた。

   その本は以前から持っていたのだが、このあいだ引っ張り出し
   て読んでいるうちに、閉じ方が悪いのかすべてのページが
   ばらばらになってしまった。たいして期待していなかった
   とおりこの店にはその本はなかった。さまよった手をそのまま
   引っ込めるのもシャクなので、なんの積極的な意図もないまま、
   ぼくはアンドレ・ジードの文庫本を棚から抜き出した。
   行き当たりばったりにページを開いた。おどろいた。
   なんとよりによってそこには
   「アントナン・アルトー」と題されたごく短い一文がぼくを
   待っていたのだった!

3)書店を出ながら、ぼくは何年も会っていない知人のことをふと
   思い出した。彼女は昔、この町で喫茶店を経営していて、
   高校生のころのぼくらにいつもコーヒーとトーストをごちそう
   してくれたのだ。
   その後、彼女は店をたたんで、家族とアメリカにわたっていた。
  
   そうだ、このあいだ出版されたぼくの訳した本を送ってあげよう
   かな、とぼくはぼんやりと考えた。
   それから地下街への入り口に向かって歩いていったのだけれど、
   そのとき誰かうしろからぼくを呼び止めた。
   なにげなく振り返るとそれは(もうきみにも予想がつくとおり)
   ロス・アンジェルスにいるはずの彼女なのだ。

   3年ぶりにアメリカから一時帰国中の彼女は、やっと暇が
   できたので、本屋でものぞこうと、ぶらりとここに立ち寄った
   のだという。彼女はぼくの本を買ってくれて、ぼくは彼女に
   コーヒーをおごった。

4)それから家に帰って予定の仕事を済ませた。そういえば今度の
   土曜日にはテニスをする約束だった。それで友達に場所と時間
   を聞こうと、電話の受話器をとった。
   ところが取り上げてみると、どうも様子がおかしいのだ。
   なんていうのか知らないけれど、あのピーピーという音がしない。

   するといきなり「もしもし?」と自信のなさそうなしゃがれ声
   がする。聞きなれたあやしい男の声だ。
   あれ、もしもし、もしもし、だれだよ?誰にだってわかる。
   もちろんそれは、ぼくが電話をかけようと思っていた、
   まさにその相手、テニス友達だった!
   ぼくらはびっくりし、それから爆笑したのだった。
 
(F.D.ピート著「シンクロニシティ」訳者 菅 啓次郎あとがきより)

これらは特別に珍しい事でもなく、誰もが日常くりかえし経験して
いる「偶然の一致」と呼ばれている出来事でありますね。
連続して起きると、誰でも「不思議だ」と思うが、
時間をおいて起きると「ただの偶然」と意識の片隅へ追いやられる。

ただ、共時性について意識を強く持つ(気づく)と、その機会が
どんどん増えてくるらしい。そしてその「現象」が自分にとって
何を意味しているのか、心を向けてみると今問題をかかえている
ことの答えのヒントになることが多いらしいのです…。

「こころと現象の関係」について興味を持った私と夫は、
それから
一年半のあいだ、ある「学校」へ…(宗教団体ではなく)
通い続けたのであります。

<共時性現象をいかにして多くひきつけるか>

<心の持ち方を変えると、いかに環境が変わってくるか>

学ぶところでありました。
体験話は次回にしますね。

   〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 〜 
 
【 シンクロニシティについての参考書籍 】

1)「タオ心理学・ユングの共時性と自己性」 春秋社
       ジーン・シノダ・ボーレン著 渡辺 学ほか訳

2)「シンクロニシティ」     朝日出版社
          F.D.ピート著  管 啓次郎 訳

3)「ユングと共時性」      創元社
         イラ.プロゴフ著  河合 隼雄 訳

4)「宗教と科学の接点」
           河合 隼雄著    岩波書店




本日のおかんの法則

        「シンクロニシティそれはものとこころのかけ橋。」